【ウイスキーの歴史1/ 紀元前3000年〜】古代のビール(醸造酒)から始まる蒸留酒の歴史とは?|蒸留技術の発展から当時の蒸留酒の役割もご紹介
今回は【ウイスキーの歴史】を回に分け、時代に沿ってご紹介していく第一回目です。
蒸留酒が生まれたたキッカケである、ビール(醸造酒)の始まりから蒸留酒技術の発展までご紹介していきます。
最後に、蒸留したてのスピリッツについてもご紹介していきますので、ぜひご参考にしてください。
紀元前3000年頃からはじまる、ウイスキーと同じ原材料のビール(醸造酒)の歴史
人とお酒の付き合いは長寿なんですね。
そして本格的にビール製造が盛んになるのが、紀元前3000年頃のメソポタミアやエジプトあたりの地域で、農耕生活が始まってからとされています。
(※もちろん、現代のビールの形ではありません。)
エジプト付近は、現代でも気温が高く当時も暑かったようです。
そのため、生水は生活飲料としては適していませんでした。
醸造酒のビールは、発酵したアルコール飲料なので、栄養価が高く安全な飲み物として、当時は持て囃されていました。
現代のクリアなのどごしが楽しめるビールとは違い、ドロドロとしており泡もない飲み物だったと言われています。
\製法に秘密があります/
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『液体のパン』と呼ばれた古代エジプトのビール
古代エジプトのビールには、大麦麦芽やエンマー小麦が主原材料で使用されていることが、発掘された遺跡から判明しているそうです。
発酵には、麦の粉で作ったパンが使用されていました。
紀元前3000年頃のビールの製法方法とは?
甕の中に湯を沸かし、そこにパンを入れ発酵させます。
仕上げには、ナツメヤシや葡萄をはじめ、様々な果汁やハーブを添加させ完成です。
(※ホップを使用しないので、ドロっとした仕上がりになります。)
そのため古代エジプトのビールは、香り・風味は多種多様にあり、約20種類以上のビールがあったと言われています。
当時のビール製造レシピが『モニュマン・ブルー』と呼ばれる粘土版に、メソポタミアのシュメール人が絵にたのが、現存する最古の記録だそうです。
※キリンビールが2020年、古王国時代のビールを再現しています。
古代エジプトには、ビール以外の醸造酒であるワインも、人々に親しまれていました。
ただし、まだ蒸留酒は生まれていません。
蒸留酒はまだですか?
\やっと蒸留技術について/
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醸造酒から蒸留酒へ発展した歴史
蒸留酒がいつ・どこで・どのように誕生したかは、まだハッキリと解明はされていません。
ですが、ざっくりとビールなどの醸造酒から蒸留酒へ発展した流れをご紹介していきます。
蒸留技術は元々香水を作る製造方法だった
実際メソポタミア北部(テペ・ガウラ遺跡)で、当時の香水造りで初めて使用された蒸留器が発掘されています。
蒸留酒が生まれるキッカケになった錬金術とは?
錬金術は、古代エジプトや古代ギリシャではじまり、4世紀頃にはエジプトの地域で盛んだったと言われています。
錬金術が扱う分野は、卑金属を貴金属へ変える技術や、前化学・哲学・神秘主義・天文学・薬学など多岐に渡りました。
古代から中世へ移るにつれ、錬金術師たちは次第に不老不死に繋がる秘薬や、賢者の石などを追い求めるようになります。
8〜9世紀 錬金術に欠かせない『アランビック蒸留器』の発明
8〜9世紀頃、薬学の分野に精通した錬金術師ジャービル・ブン・ハイヤーン(ゲーベル)氏が、現在も使われている蒸留器(アランビック)を発明しました。
このアランビック蒸留器は、化学工業への道を開いたと言われています。
彼の研究によって、現在の化学工業の基礎『塩酸・硝酸・硫酸の精製と結晶化法』などが発見され、後の錬金術の発展へ繋がりました。
ついに蒸留酒の誕生まで目前ですね。
\ついに誕生/
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8〜11世紀頃に蒸留酒が誕生
8世紀頃、錬金術師マルクス・グロエクス氏が、実験のために白ワインを蒸留した記録を残しています。
あくまでも錬金術の化学的実験でしたが、その後8〜11世紀頃にかけて蒸留酒は誕生しました。
この頃は現代の医療もない時代です。
言うまでもなく、衛生面は現代と比較にならない程低く、死傷率は非常に高かったでしょう。
そのため錬金術から生まれた蒸留酒は、アルコール度数が高い数値を保っているため、当時はその殺菌作用などが重宝されていたと考えられます。
錬金術師たちはその後、蒸留酒『生命の水(アクアヴィテ)』を薬酒・薬液(霊薬)エリクサーとして、薬用リキュールの開発を進めていきます。
\お酒というより薬用だった/
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13〜14世紀に活躍した蒸留酒『生命の水(アクアヴィテ)』
13世紀頃、ローマ教皇の医師兼錬金術師のアルナルドゥス・デ・ビラ・ノバ氏と、ラモン・リュイ氏が薬用のリキュールを開発します。
彼らは「スピリッツ(蒸留酒)に薬草の成分を含ませれば、効能が高まる」と考案し、レモンやバラなど様々な成分を含ませたそうです。
これが、最初のリキュールとして誕生した『ロー・クレレット』です。
特に、世界中で黒死病(ペスト)が大流行した13〜14世紀頃、『生命の水』は貴重な薬として、予防・治療に利用されていたそうです。
この『生命の水』を使用する薬用リキュールの製法は、修道院へ伝えられ開発も担うようになります。
あの有名な『修道士ジョン・コーに8ボルのモルトを支払い生命の水(アクアヴィテ)を造らしむ』といった内容です。
その後、『生命の水』と称される蒸留酒は、一説にはキリスト協の布教と共に、様々な地域で薬酒として広がったと考えられています。
蒸留技術の発展で
\進化するお酒の種類/
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その後 世界へ広がる蒸留酒の製法
13世紀頃のスペインでは、錬金術師アルナルドゥス氏が蒸留でブドウ酒を抽出したことが記録に残っています。
ハンガリーでは17世紀の記録に『ハンガリー(王妃の)水』と呼ばる、蒸留技術を使用した治療薬兼香水が開発さたことが記されています。
考案したのは修道士か、宮廷の錬金術師です。
また14世紀頃(1405年)には、蒸留酒の仲間の一つ『ウォッカ』の名前が公文書に登場しています。
当時のウォッカは飲料用でなく、消毒剤として使用されたモノを指します。
同じものですが飲料用として扱うウォッカは『ゴシャウカ』と呼ばれていました。
蒸留技術の発展は、お酒の歴史で非常に重要なターニングポイントだと言えるでしょう。
蒸留技術によって薬用リキュールが生まれ、その後白ワインからコニャックやブランデーなど登場し、はたまたウォッカが親しまれたりと、様々な種類のお酒が生まれました。
\ウイスキーは?/
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ついに蒸留技術がアイルランド・スコットランドへ
蒸留技術はその後、アイルランド、スコットランドへ流れ、ウイスキーが誕生します。
ウイスキーの発祥が、アイルランドかスコットランドかは、未だに解明されていません。
(※残念ながら事実だとは証明されていません)
この頃アイルランドやスコットランドの『生命の水』は、まだ無色透明でした。
しかし、ジョン・コー修道士の記録から、大麦麦芽を原料にして蒸留していたことが推測できます。
蒸留後に木樽で熟成する工程も、ありませんでした。
17世紀初頭に、アイルランドのアントリム領主に蒸留免許が授与され、スコットランドでは1689年にスコッチ最古の蒸溜所『フェリントッシュ蒸溜所』が建設されました。
現代の琥珀色が美しいウイスキーに近づいたのは、18世紀初頭だと言われています。
無色透明の蒸留酒スピリッツとは?
ウイスキーの琥珀色は、蒸留後したスピリッツを加水してアルコール度数を一旦下げ、木樽で一定期間の間、しっかりと熟成させることで色が付きます。
当時のものではありませんが、現代でも熟成していない状態のモノは販売されています。
また、ウイスキー愛好家の方の中には、自宅で小さな木樽を購入し、スピリッツを熟成させ楽しむ方もいらっしゃいます。
スピリッツを入れるだけなので簡単にでき、また熟成期間を好きに調節できるので、ぜひ、気になる方は挑戦してみてください。
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\スピリッツを試してみてください/
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